軌道上の手紙

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第3話

古い座標系

シグナルを記録したまま、わたしはコンソールの引き出しから古い参考資料を引っ張り出した。宇宙ステーション赴任時の研修で配布されたもので、衛星軌道の歴史や過去の通信規格をまとめた冊子だ。埃をかぶっていたが、ページをめくると、時刻表示の様式が載っていた。

1970年代のものだ。そんなはずがない。

わたしは表示されていた座標とその時刻を手帳に書き写した。周波数パターンからすると、これは単なるノイズではなく、高度に組織化された信号だ。誰かが、あるいは何かが、かなり意図的に送信している。古い規格を使って。

窓の外を見やった。宇宙ステーションは秒速およそ7.7キロメートルで地球を周回している。その軌道の上で、わたしはこの信号を傍受している。三週間も。気づかないうちに。

ふいに別の周波数帯にノイズが入った。通常の業務用の信号だ。朝方になり、地上との定期通信が始まる時間らしい。わたしは手帳を仕事着のポケットに押し込み、コンソールを静かにシャットダウンした。何ももなかったようにして。

だが、その座標と時刻が頭から離れない。もしそれが現在の位置ではなく、過去のどこかを示しているのなら。あるいは、未来のどこかを。

わたしは次の休務時間に、あの周波数に再び接続することを決めていた。シグナルの全体像を把握するまで、誰にも言わずに。

続きはまもなく

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