第1話
第一話 完璧な計画
スプレッドシートを眺めていた。試験日から逆算して、毎日何時間、何の科目を、どのテキストで勉強するか。休日と平日で配分を変えて、復習のサイクルも組み込んだ。三か月かけて作った計画だ。
友人の田中は、このタイプの計画を「机上の空論」と呼ぶ。毎回だ。その度に私は反論した。「計画なしで成功した人なんて聞いたことない」
今回も違わないはずだった。試験まであと六ヶ月。これだけあれば、完璧に準備できる。計画通りなら。
初日は上手くいった。朝六時に起床し、コーヒーを淹れて、計画に従って第一章を読み進めた。予定の二時間を終えて、充足感に包まれた。
三日目で違和感が生まれた。疲れが残っていて、集中力が続かない。予定では三十分で済むはずの章が一時間かかった。取り戻さねばと、夜間の勉強時間を増やした。
一週間後、計画は既に現実との間に齟齬を生じていた。仕事の飲み会が入ったり、体調を崩したり、思いのほか理解に時間がかかったり。微調整の微調整が積み重なっていく。
そこで気づいた。完璧な計画を立てることの次に大切なのは、計画が壊れたときにどうするか、ではないだろうか。
田中に報告すると、笑われた。「だから言ったじゃん。計画は絶対じゃなくて、目安なんだよ」
その言葉が妙に腑に落ちた。完璧さを求める私にとって、それは新しい視点だった。
続きはまもなく
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