第1話
第一話 センサーの嘘
朝の満員電車の中で、佐藤のスマホは謎の挙動を示していた。
歩数計アプリが勝手にカウントを重ねる。加速度センサーが連続で反応している。明らかにおかしい。電車は揺れているけど、ここまで過敏に反応するはずがない。
会社に着いてから、ログを確認してみた。データ波形がノイズだらけ。でも興味深いことに、完全なランダムじゃなく、何か規則性があるように見える。
昼休みにネットで検索してみると、同じ現象の報告がちらほら。特に電車内や駅で多く発生しているらしい。ビルの工事現場の近くでも。つまり、振動が多い環境だ。
でもさ、センサーなんて振動を測るためのものじゃん。なんで誤動作するんだろう。
帰りの電車で、もう一度スマホを持ってみた。センサーデータを眺めながら、電車の揺れを感じる。加速、減速、カーブ。その全てが数字に変換されている。
ふと気づいた。スマホって、実は重力も測ってるんじゃないか?加速度センサーは、動きだけじゃなく重力加速度も検出する。だから静止している状態でも、下向きの加速度が常に記録されている。
なら、電車の揺れと重力の相互作用が、何かおかしなことを起こしてるのかもしれない。
スマホを傾けたり、角度を変えたりしながら、データの変化を観察する。確かに方向によって反応が違う。
物理って、こんなに身近にあるんだ。思わず呟いてしまった。同じ車両の人に変な顔をされた。
明日、会社で同僚に聞いてみよう。誰か、センサーのことに詳しい人、いたっけ。
続きはまもなく
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