第1話
第一話 箱の中の選択肢
新しいアパートの鍵を握った日、俺は呆然と自分の荷物を眺めていた。段ボール箱が15個。少なくない。
不動産屋のおじさんは「収納スペースは前の部屋と同じくらいですよ」と言ってたはずなのに、なぜこんなに多く感じるんだろう。そもそも前の部屋でも、物を無理矢理詰め込んでた気がする。
スマホで「収納 DIY」と検索すると、山ほど出てくる。壁付けシェルフ、ロフトベッド、クローゼット用パーティション。全部揃えたら、もう一部屋作れるんじゃないかってくらいの値段だ。
一方で「断捨離」のワードも視界に入る。ミニマリストとか、持たない暮らしとか。見てると清潔感あるし、何だか生活もシンプルになりそうに見える。でも、本当にそれが自分に合うのかは分からん。
母親に電話したら「とりあえず全部出して、いるものといらないもの分けなさい」と言われた。ごもっとも。でも、その判断が難しいんだよ。去年買ったあの本は読まないけど、いつか読むかもしれない。このカメラは今使ってないけど、今後必要になるかも。
そう考えてると、すべてが「保留」になる。
夜中、俺は床に座りこんで、段ボール箱をぼんやり眺めていた。収納を増やすか、物を減らすか。その判断の先に、何が見えるんだろう。ただ単に、スペースの問題じゃ済みそうにない気がしてきた。
続きはまもなく
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