第3話
第3話 予感の正体
のだろうか。
翌朝、オフィスに着くと、まず田中さんの席を探した。いつもの場所に、いつもの姿勢で座っている。何か変わったところがあるか、そっと観察してみたが、昨日と変わらないように見える。ただし、彼女の肩が、少しだけ上がっていないような気がした。気のせいだろうか。
自分の席に戻り、パソコンを起動した。朝のメールチェック。定例会議の資料作成。いつもと同じ業務。だが、今朝の肩の状態は確かに昨日と違う。重さはあるが、あの石のような硬さは薄れている。
10時。メモの指示を再び思い出し、実行した。肩を回す。首を伸ばす。30秒の休止。周囲に目立たないよう、さりげなく。その繰り返しが、本当に効果を持つのだろうか。科学的な根拠があるわけではない。ただ、体が反応している気がする。
昼休み。いつもと同じ時間に、いつもと同じ場所で食事をした。その途中、ふと後ろから声をかけられた。田中さんだ。
「あ、昨日のメモ、見つかりましたか?」
心臓がざわめいた。メモ。彼女のものだったのか。
「あ、はい。これですが…」
メモを取り出そうとしたその瞬間、彼女は続けた。
「実は、あれは私が試しに書いたものなんです。自分がどうしても肩が痛くて、色々調べて。まさか、拾ってくれた人がいるなんて」
そこから先の会話は、ほとんど聞き取れなかった。耳に入ってくるのは、自分の鼓動の音だけ。メモは、本当に偶然落とされたものだったのか。それとも、何か別の理由があるのか。
田中さんは続けた。
「もし、試してみてくれているなら、ぜひ感想を聞きたいです。実は、あと2つほど工夫があって」
彼女の肩を見ると、確かに昨日より柔らかく見える。その目は、単なる同僚の興味ではなく、何かをシェアしたい、という強い意志が宿っていた。
この先、何かが動き始める予感。メモの正体は、まだ明かされていない。
続きはまもなく
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