第3話
第3話 「続く」の中身
ただし、新たな課題が生じていた。
月曜と木曜が待ち遠しくなったことは、田中にとって想定外だった。むしろ喜ぶべき変化のはずだ。だが、その一方で、別の感情も芽生え始めていた。
「もっと効果を出したい」
鏡で見る自分の体は、1ヶ月では目に見えて変わっていない。SNSで見かけた「3ヶ月で−10kg」や「肉体改造ビフォーアフター」の投稿が、ふと脳裏をよぎることがあった。
金曜日の昼休み、田中は同僚の佐藤に声をかけた。
「佐藤さんって、ジム通ってますよね。メニューとかどうしてるんですか」
佐藤は笑った。「あ、田中も始めたんだ。俺は週4で、週ごとにメニュー変えてる。プロテインも飲んでるし。やっぱり工夫がないと変わらないよ」
帰宅後、田中はスマートフォンを手に取った。検索欄に「筋トレ 効果 出す方法」と入力する。画面に並ぶのは、より高度なメニュー、サプリメント、食事管理の情報ばかりだ。
1ヶ月続いた自分に自信が生まれていたのかもしれない。あるいは、結果が欲しくなったのか。どちらにせよ、田中は気づいていなかった。その欲望が、これまで続いた理由を揺さぶりかねないことに。
月曜日。いつもと同じ時間にジムに着いた田中だったが、メニューを見ながら考えていた。このままでいいのだろうか。もっと強度を上げるべきではないか。
熟考する中で、ふと思い出した。3週目の木曜日、時間がなかった時の自分の言葉だ。
「20分だっていい」
その時、何を優先していたのか。結果か、それとも。
田中は立ち上がり、受付スタッフのもとへ向かった。
続きはまもなく
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