第6話
第6話 選択肢の重さ
翌朝、主人公は橋本からの返信を待たずに、自分の投信について考えていた。ボーナスから捻出した30万円。今や32万円を超えている。
利益確定するか、続行するか。橋本の悩みは、そのまま自分の悩みでもあった。
職場の休憩室で、主人公は佐藤に相談を持ちかけた。「そろそろ売ってみようかと思うんですけど」
佐藤は顔を上げた。「そうか。どうしてそう思う?」
「だって、プラスになってるし。ここで確定させれば、確実に儲かったことになるじゃないですか」
「そりゃそうだ。ただ、それは『今』の判断だろう。来月、利益がさらに増えてたら、売らなきゃよかったと思う。逆に下がってたら、売っといて正解だったと思う。どっちにしろ、後悔するんだよ」
主人公は、その言葉の重みを感じた。
「要するに、何が言いたいかって。売買のタイミングなんて、誰にもわからないってことだ。だから大事なのは、自分が納得できるルールを決めることなんだ。『3ヶ月で利確する』とか『年1回のみ売却』とか、何でもいい。そのルールに従う。それができれば、後になって『あのときああすればよかった』って悔やむことは減る」
帰宅後、主人公はアプリを開いた。プラス385円。数字は毎日変わる。でも、自分の判断を左右させてはいけない。
スマートフォンの片隅に、メモアプリを開いた。『自分のルール』と題して、今夜から始めることを書き残した。その文字を見つめながら、主人公は思う。
お金の世界は、選択肢に満ちている。その選択肢の重さに、ようやく気づき始めたところだった。
続きはまもなく
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