第6話
習慣と創意のあいだで
その翌日、友人と久しぶりにカフェで会った。自炊を始めたことを話すと、友人は「へえ、続いてるんだ」と少し驚いたような顔をした。
「完璧さを手放せば続くって言ったじゃん」と言い返すと、友人は首をかしげた。「いや、そこじゃなくて。続いてるのはいいんだけど、何か変わった?」
その質問に、僕は答えに詰まった。続いてることが変わったことだと思っていたのに、友人はそれ以上を求めているみたいだった。
「昨日、レシピ見ずに作ってみたんだよ」と話すと、友人の目が少し輝いた。「それだ。それが大事なんだと思う」
帰り道、その言葉が反芻されていた。完璧さを手放すことで、僕は楽になった。でもそのせいで、別の何かも手放していたのかもしれない。毎日同じように作る心地よさに甘えて、試行錯誤する余地を忘れていた。
自炊が続くこと。それは素晴らしい。でも、続くだけじゃ足りないのかもしれない。その過程で何かを感じたり、学んだり、時には失敗したりすることが、本当の意味で続ける理由になるんじゃないか。
帰宅して冷蔵庫を開けた。いつもと同じ食材が並んでいた。今日は何を作ろうか。その選択肢を、また重く受け止めてみることにした。完璧じゃなくていい。でも、ちょっと冒険してみる。そういうバランスの上に、続く理由があるのかもしれない。
母へのLINEの返信はまだ書いていない。次に何を作ったのか、ちゃんと伝えられるようになるまで待ってもいいかもしれない。
続きはまもなく
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