第1話
第一話 数字の沼
また3時に目が覚めた。寝付きから起床まで、すべてスマートウォッチが記録している。アプリを開くと、昨夜の睡眠スコアは58点。深い睡眠が不足しているらしい。
最初は楽しかった。自分の睡眠を可視化するって、こんなに興味深いんだ。でも気づいた時には、毎晩アプリをチェックする習慣ができていた。スコアが低いと不安になり、その不安が眠気を吹き飛ばす。悪循環だ。
友人に話すと「数字に支配されてんじゃん」と笑われた。その通りかもしれない。良い睡眠って、本来は寝起きの爽快感とか、昼間の疲れやすさとか、感覚的なものじゃないのかな。
今夜、実験してみることにした。スマートウォッチを外して、アプリも見ない。単に、寝る。明け方に目覚ましもなしで起きて、どう感じるか。テックに頼るのは楽だけど、ときには逆効果なんだと気づかされた。デジタルデトックスなんて大げさなことじゃなく、ただ一晩、自分の体の声に耳を傾けてみようかな。
続きはまもなく
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