第6話
第6話 小さな変化の積み重ね
いなかった変化が、周囲には見えていたらしい。
目が覚めた直後の絶望感は、確かに薄れてきている。朝まで目を閉じたまま天井を睨みつけていた頃と違い、今は「次に何をするか」という選択肢が頭に浮かぶようになった。その選択肢のひとつひとつが、つまらないほど単純なことばかりなのに、それが逆に助けになっている気がする。
スマートフォンの光を浴びるのは避ける。ストレッチをしてみる。窓を開けて外の空気を吸う。そうした試行錯誤の中で、何度か再び眠りに落ちることに成功した。全てが上手くいくわけではない。それでも、上手くいくこともある。その「こともある」が何度も重なると、やがて「朝が来るまで起き続ける」ことが宿命ではなく、ただの一つの可能性に変わっていく。
朝日が窓から差し込み始める頃、昨晩の試行錯誤を記録に残すことにした。何時に目が覚めたのか、どんなことをしたのか、その後どうなったのか。記録を付け始めたのは三日前だが、この小さな習慣が、自分の中で何かを変えているのを感じる。
数字や文字として残すと、漠然とした不安が形を持つようになる。形を持つと、対策の立てようがある。対策が立つと、完全ではなくても、何かしら試してみようという気になれる。
仕事の合間、スマートフォンを開き、あの「睡眠の質」について書かれた投稿を改めて読み返していた。すると、コメント欄に似たような悩みを抱えた人たちの声がたくさん並んでいることに気づいた。自分だけが夜中に目覚めて困っているわけではないのだ。同じ時間帯に、どこかで誰かが、同じように試行錯誤を繰り返しているのかもしれない。
その思いは、なぜだか心を少し軽くした。
続きはまもなく
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