アルゴリズムの庭

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第6話

不完全の許容

翌朝、俺は投資家との会議室に座っていた。プレゼンテーション資料は昨日のままだ。完璧に最適化されたシステム。再現可能性。効率化の数値。すべてが期待通りの言葉で装飾されている。

だが、スライドを進める手が止まった。

「ところで」ディレクターが身を乗り出す。「キャラクター生成の多様性について、何か知見は。ユーザーテストの結果、同じテンプレートから生まれたキャラは、やや『作られた感』が出ると指摘されてます」

それは、俺が緩めた許容誤差の痕跡だ。報告書には入れていない発見だった。

「多様性ですか」俺は言葉を選びながら答えた。「現在のシステムは、効率と統一性を優先して設計されています。ただ、もし仕様を変更して、意図的に『ゆらぎ』を許すレイヤーを追加したら——」

投資家の一人が眉をひそめる。「ゆらぎ。曖昧さですね。それは品質管理の問題では」

「いいえ」俺は昨夜のテスト結果を思い出した。十人のキャラクター。それぞれが異なる矛盾を抱え、それでいて一貫性を失わない存在たち。「むしろ、人間らしさの問題かもしれません」

ディレクターが画面を見つめる。俺は続けた。

「完璧さだけでは、キャラクターは息をしません。欠陥があるから、その中で何かが——」

言葉が詰まった。会議室は静寂に包まれた。投資家たちの顔には、判断を待つ表情が浮かんでいる。

この瞬間、俺は知っていた。どちらの道も選べるということを。報告書通りに進むのか、それとも、昨夜のテストをディレクターに見せるのか。

スライドの次ページをクリックする。そこには、新しい提案が映った。

「次段階として、制御可能な多様性レイヤーの実装を提案します」

投資家たちが顔を見合わせた。ディレクターだけが、俺の目を真っすぐ見つめていた。

続きはまもなく

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