第4話
選択と後悔、その間で
迷いながらも、僕は三つの自治体を選んだ。
一つ目は、毎月必ず使う日用品。返礼品の「お得感」ではなく、家計に直結する実用性を優先した。アプリの支出記録を見ると、消耗品費は毎月の変動が大きい。ここを補えば、翌月以降の貯蓄枠が少し広がるはずだ。
二つ目は、妻が欲しいと言ったお米。正直に言えば、僕は返礼品の質を判断する目安をまだ持っていない。妻はネットのレビューを丹念に読み、複数の自治体を比較していた。その過程を見ていて気づいた。彼女もまた、この数週間で何かが変わっていたのだ。
三つ目の選択で、僕は立ち止まった。
上限額にはまだ余裕がある。そこに何を充てるか。妻に相談すると、「貯蓄に回せば」と言った。その言葉は正しい。だが、何かが引っかかる。ふるさと納税を始めた時の、あの返礼品を眺めるときめきはどこへ行ったのか。
「全部、家計管理になってしまってないか」と僕は呟いた。
妻は笑った。「それでいいんじゃないの。返礼品を選ぶのも家計管理なんでしょ」。
その通りだ。だが、同時に何か失ったような気もしている。統計や最適化の中に、喜びの感覚が沈んでしまったような。
申請ボタンはまだ押されていない。給与明細を握りしめた時と違う種類の迷いが、今の僕を占めている。
続きはまもなく
目次