オフィスの転機

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第1話

第一話 棚卸しの朝

月曜の朝礼は、いつもと違う雰囲気だった。部門長の声が硬く、「組織の最適化」という言葉が何度も繰り返される。営業一課の私たちは、来月から新しい体制に移行するという。具体的な内容はまだ明かされていない。

席に戻ると、人事から一通のメールが届いていた。件名は「キャリア開発のための自己評価シート」。締め切りは一週間。これまで経験した業務、身につけたスキル、実績を記入する形式だ。

スクロールしながら、15年間のキャリアを振り返る。新卒で配属された営業一課から、ずっとこの部門にいる。営業成績は平均以上。クライアント対応も悪くない。でも、改めて問われると、言葉にするのが難しい。「営業ができます」では、あまりに漠然としている。

パソコンの前で止まったままだった。実績を数字で示すことはできる。ただ、それ以上に何があるだろう。プロジェクト管理?交渉スキル?後輩指導?いや、そもそも自分は後輩にちゃんと何かを教えたことがあるのか。

隣の席の佐藤が立ち上がった。彼も同期だ。

「このシート、何か不安だな」と呟きながら、画面を閉じてしまった。

私も同じ感覚を覚えた。不安というより、自分を客観的に見つめることの難しさ。いつも「次の案件」「今月の目標」に追われていて、立ち止まる余裕がない。今、その立ち止まりが強制されている。

窓の外は冷たい初冬の光が差している。期限までに何か書かなければならない。でも、きちんと整理して考えるなら、単に実績を並べるだけでは足りない気がした。

スマートフォンを開き、「スキル整理 フレームワーク」と検索した。いくつかの記事が出てくる。読みながら思うのは、多くの人が同じ問題を抱えているということだ。

明日は、きちんと時間をとって考えようと決めた。15年間の中身を、もう一度、丁寧に。

続きはまもなく

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