数字の迷宮

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第3話

属性の鎖

いか。

翌日、データベースから属性情報を引き出し、クロス集計を試みた。すると、予想通りの分断が浮かび上がってきた。

新規利用者の満足度は平均五十二点。対して、三年以上の継続利用者は八十六点。同じ顧客満足度調査なのに、利用歴によってこれほど異なる。全体平均の七十八点という数字は、両者の中間地点に過ぎない。そしてその中間値に、実在する顧客層はいないのだ。

もう一つ気になることがあった。回答者の構成比だ。新規利用者は全体の二十パーセント程度。つまり、データの大部分は継続利用者の高評価で占められていた。全体平均が七十八点に押し上げられた理由は、そこにあった。

「『高い満足度を実現』という結論は、正確には何を意味しているのか。」

資料を前に、そう呟いた時、自分の思考に違和感が生じた。それは批判的な違和感ではなく、むしろ危機感に近い。この資料を作った人物は、悪意を持ってこの数字を操作したのだろうか。それとも、何も考えずに慣例に従ったのだろうか。

いずれにせよ、その資料は真実の一部を意図的に、あるいは無自覚に隠していた。そして問題は、それが『正しい統計手法』として受け入れられることだ。

上司への報告を先延ばしにしながら、主人公は別の案件ファイルを開いた。その中にも同じ手法が使われていないか、確認する必要がある。真実と虚構の境界線は、思いのほか曖昧だった。

続きはまもなく

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