NISA日誌 〜30代からの資産形成〜

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第2話

情報の海で溺れかけて

翌日の昼休み、私は再びスマートフォンを手にしていた。前夜にまとめた数字を眺めながら、検索窓に「新NISA 初心者」と入力する。

出てくる記事の数に、改めて圧倒される。「年間360万円の非課税枠」「成長投資枠と成長枠の違い」「つみたてNISAからの移行」。知識を深めようとするほど、選択肢が増えていく。

同僚の田中さんが席に立ち寄った。「NISA、調べ始めました?」という軽い声かけが、妙に心に引っかかった。彼は「とりあえず口座を開いて、月5万円から始めた」と話していたのだ。完璧な計画があるわけではなく、とにかく動いているのだという。

それまでの私なら、「情報収集が足りない」と判断していただろう。しかし、手帳に書き出した自分の数字を改めて見つめていると、別の問いが浮かぶ。情報を集めることと、実際に始めることの間に、どれほどの距離があるのか。完璧を目指すあまり、気づかぬうちに判断の先送りをしていないだろうか。

休憩時間が終わり、業務に戻る。その夜、私は小さな決断をした。証券会社のウェブサイトで口座開設の申し込みを進める。全てが理解できているわけではない。むしろ、不安な部分の方が多い。だが、申し込み画面を進めるたびに、これまで感じていた「膠着感」が、かすかに軽くなっていくのを感じた。

口座が開設されるまでに、1週間ほど要するという。その間に、もう少し基礎を理解しておこう。完璧でなくてもいい。自分の貯蓄と支出の関係を理解した上で、少しずつ動く。そういうペースなら、続けられそうな気がした。

手帳に新しく書き足す。「焦らず、止まらず。」

続きはまもなく

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