第1話
第一話 また失敗した
給与が入った翌日、いつもの手続きを済ませた。毎月15万円を定期預金に回す。今月こそは続けるんだと心に決めていた。去年の今頃も同じことを考えていたような気がするが、そこには目を瞭さないことにした。
初日は順調だった。お昼は弁当を持参して、自販機を避けた。夜も飲み会を理由に断った。二週間目も割と良好。このペースなら、今月は大丈夫かもしれないと思い始めていた。
しかし月の中盤、同期の田中が新しい靴を履いていた。聞けば前からずっと欲しかったブランドのセールだったという。「お前も欲しいのがあったら買えば?」と笑いながら言われた瞬間、急に自分の小ささが際立つ感覚に襲われた。結局その日の夜、ネットショッピングアプリを開いていた。
月末が近づくにつれて、貯金の決意は薄れていった。外食も増え、オンラインショッピングの頻度も上がった。気づけば定期預金に回すはずだった金額の半分程度しか貯まっていない。いつもの光景だ。
給与明細を眺めながら、ため息をつく。なぜ毎回同じことになるのか。自分の意志が弱いのか、それとも計画そのものが現実的でないのか。その判断もできないまま、また来月に期待をかける自分がいた。
続きはまもなく
目次