平日5時の選択肢

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第一話 アラームの音

目覚まし時計が鳴った。いつもなら二度寝の準備に入るところだが、昨日受け取った健康診断の結果が脳裏をよぎった。医者からは「生活習慣の改善を」と穏やかに指摘されたのだが、その言葉の重みが妙に頭から離れない。

今日こそ、と布団から出た。足が床に着いた瞬間、いつもの後悔が襲ってくる。こんなに早く起きて何をするのか。その答えが見当たらない。スマートフォンを手にしてしまい、SNSを開いている自分に気づいた。朝活という言葉が検索欄に上がってきた。

キッチンに向かった。いつもはコーヒーをすぐに淹れるのだが、今朝は白湯を試してみることにした。理由はない、ただ何か違うことをしたかった。温かい湯を飲みながら、窓の外を眺める。通勤ラッシュの時間帯より前の静かな街並み。こんな時間帯があったのか、という感覚は新鮮だった。

時間を確認すると、出発まであと三十分ある。ソファに座り、普段は夜中に読んでいた本を開いてみた。朝日が入る部屋で読む活字は、なぜか頭に入りやすい気がする。その時点で、この朝の時間は悪くないな、と素直に思った。

ただ、この感覚が明日も続くかどうかは別問題だ。習慣というものの難しさを、三十年近く生きていればよく知っている。けれど、今朝のこの静寂と、白湯の温かさだけは覚えておきたいと思った。

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