第1話
第一話 朝の30分
朝5時半。目覚まし時計の音が響く前に目が覚めた。
いつもより2時間早く起きるのは、今週から始めたルーティンだ。転職活動をしながら今の仕事を続けるには、時間の使い方が全てだと最近になって気づいた。
顔を洗い、コーヒーを淹れる。まだ部屋は薄暗い。この時間帯は誰からも連絡が来ない。邪魔されない30分間が、自分にとってどれほど貴重か、今さらながら実感している。
ノートパソコンを開く。昨夜、気になる企業の採用ページをブックマークしておいた。実際に働いている人のインタビューを読む。どんな環境なのか、どんな課題に向き合っているのか。今の職場とは何が違うのか。
時間を区切ることにした。朝の30分は「情報収集」。昼休みの20分は「応募書類の推敲」。帰宅後の夜は「スキルアップ」に充てる。細切れ時間だけれど、塵も積もれば。そう信じることにした。
ただし、現職の仕事を疎かにするつもりはない。むしろこの転職活動を通じて、今やっていることの意味をあらためて考えている。何が好きで、何がやりたくないのか。その整理ができると、次の選択肢も見えやすくなるのかもしれない。
コーヒーが冷めかかっている。パソコンの画面から目を離し、窓の外を見た。まだ暗い街並みが、少しずつ明け始めていた。
続きはまもなく
目次