フレーム

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第1話

第一話 15秒と90分

「君の映像、技術は悪くないんだけど」と、スタジオの片隅で田中さんは言った。編集画面を見つめながら。「何が足りないんですか」僕は聞き返した。ここ三年、短編コンテストで落ち続けていた。技術書も読んだし、先輩の作品も研究した。「それはね、組み立て方の哲学だ」。田中さんは椅子を引いて立ち上がった。「同じシーン、同じセリフ、同じ映像素材でさ。15秒にまとめるのと、90分にするのでは、全く違う力学が働くんだよ」。僕は首をかしげた。「ただ尺を伸ばすってことじゃなくて」「そういうことじゃない」と田中さんは笑った。「短編はね、引き算の美学なんだ。何を捨てるか。その選択肢が限られてくる。一方、長編は足し算。でも無限に足していいわけじゃない。どこで呼吸させるか、どこで観客を待たせるか。全く違う思考が必要になる」。言葉の意味は何となくわかる気がした。でも実感としてはまだ。「やってみようか」と田中さんは言った。「同じシーンで両方作ってみ。短編バージョンと長編バージョン。そしたら見えてくるはずだ。君の作品に何が足りないのかが」。僕はノートに走り書きをした。同じ素材で。短と長。組み立て方を変える。その差を感じることから始まるんだ。本当の創作って。

続きはまもなく

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